顎関節症


顎関節症とは?
口を開けようとすると音がする、顎が痛くなる、口が開かないなどの症状がある場合、顎関節症の疑いがあります。噛み合わせの異常、食いしばり、歯ぎしりなどの身体的影響に加えて、精神的な影響でも起きやすい疾患であり、それほど珍しい疾患ではありません。また、症状をよく理解し、うまく付き合っていけば、それほど怖い疾患ではありません。
顎関節症は、顎の関節を構成する骨、筋肉、靭帯といった構造のバランスが、さまざまな因子によって崩れることで生じます。
顎関節症の根本原因は?
顎関節は他の関節と比べて少し特殊で、関節頭が前後、左右、上下に複雑な動きを行う関節です。また、互いにもう一方の顎関節に影響を与える相互関係にある点も特徴的です。
顎関節はスムーズに動かすためのクッションがあります。それを関節円板と呼び、上顎と下顎が関節している部分に存在しています。この関節円板が変形したり、大きかったり小さかったりする場合や、顎を動かした際に前に転移してしまい、そのまま戻らなかったり、正常な位置に戻った際にコリコリと音がしたり痛みが発生することがあります。これらの原因として、関節円板のほかに顎に付着する筋肉なども大きく関わっています。
こんなお悩みはありませんか?
口を開けるときに音がする
→何かを食べたり、あくびをしたりなどする際にコキコキ、ゴリゴリといった音がなるのが特徴です。
口を開けると痛む
→何もしないときに痛みが出ることは比較的少ないですが、特に口を大きく開けた際や食べ物を食べる際に耳の前にある顎関節が痛みがでることが多いです。
口が大きく開かない
→口を開けると痛みが伴う際にその痛みで口が開かない症状が出る場合があります。しかし、全く口が開かなくなることはありません。
口が閉じない
→口が閉じなくなる場合は顎関節症だけでなく外れている可能性が多くあります。
嚙み合わせが変化した
→関節と筋肉のバランスが崩れることで症状が出現することが多いですが、改善すれば気にならなくなることが多いです。
顎関節症に対する当院の考え
顎関節症は5つの型に分類されていますが、当院では主に筋肉の異常からなるⅠ型、関節靭帯の異常からなるⅡ型に対して様々な施術を行っております。最近多く見受けられるのは筋肉の異常からなるⅠ型で、主に顎の筋肉である咬筋や側頭筋などを使い過ぎたことによる筋肉痛や食いしばり、歯ぎしりなどによる筋肉への負担から生じます。
症状として頬やこめかみに痛みを感じることが多く、人によってはこめかみの痛みから頭痛を訴える方もいらっしゃいます。そのため当院ではⅠ型の顎関節症に対して顔の筋肉や靭帯を緩めつつ、顔や頭の骨格の位置を正しい位置に矯正する「頭蓋骨矯正」をおすすめしております。
顎関節症はなぜ起こるのか?
年をとっても自分の口でご飯を食べられるようにと、よく噛んで食べることや硬い物を食べることが推奨されていますが、逆に過度に咀嚼を繰り返すと顎周りの筋肉に負担がかかり続け、顎関節症の原因になってしまうことがあります。
また、猫背になって顎を突き出した姿勢が習慣になったり、頬杖を突くこと、うつ伏せで寝たりするだけでも首・肩・顎の同じ箇所に負荷がかかり続け、関節のズレを引き起こす原因になるため、そういった姿勢のクセや習慣を見直すことも重要です。
他にも、歯ぎしりや食いしばり、無意識に歯と歯が接触してしまう「歯列接触癖」でも顎関節症の原因になりうることがあります。また、過度な緊張や心理的ストレスも大きく影響するため、それらを取り除くことが軽減の助けになります。
顎関節症を放っておくとどうなるのか?
顎関節症を放置してしまうと、単純な局所の炎症症状だけに留まらず、顔全体や首、肩、背中、骨盤など全身に症状が現れる恐れがあります。具体的な症状としては、頭痛、首や肩の痛みや凝り、背中の痛み、腰痛が挙げられます。
さらに、眼精疲労、充血、流涙などの眼症状、めまい、耳鳴り、難聴、耳の詰まり感などの耳症状も現れることがあります。また、歯の痛みのほか、舌の痛み、味覚異常、口の渇き感などが現れる可能性もあります。これらの症状が日常生活に支障をきたすことがあります。場合によっては、嚥下困難、呼吸困難、四肢の痺れなどの重篤な症状が現れることもあります。
痛み方や症状の程度には個人差がありますし、必ずしもこれら全てが顎関節症が原因の症状であるとは限りませんが、生活習慣の見直しやセルフケアをすることで発症リスクを下げることができる可能性があります。
顎関節症に効果的な当院の施術メニューは?
上記でもお伝えした通り、顎関節や咬筋、側頭筋などの顔の筋肉に直接アプローチできる「頭蓋骨矯正」が最もおすすめです。
その他にも首や肩、骨盤の歪みや筋肉の硬さから、顎関節や顔の骨の歪み、顔の筋肉の異常が生じることもあります。そのため、全身の骨格へのアプローチとして「スタンダード矯正」や、全身の筋肉へのストレッチによるアプローチから姿勢を矯正する「猫背矯正」も有効です。
さらに、顔の筋肉への直接的なアプローチとして「鍼施術」や、EMSによる「電気施術」も効果が期待できます。「鍼施術」については、顔の筋肉に直接アプローチするのが苦手な方には、手足のツボに施術を行うことで、間接的にアプローチする方法もございます。
その施術を受けるとどう楽になるの?
頭蓋骨矯正は、首肩周りや顔、頭の筋肉を緩めることで顎関節の動きを正常な状態に戻すことができます。さらに、顔や頭蓋骨の位置を正しい位置に戻すことで、再度同じように顔の筋肉が硬くなりすぎたり、痛めてしまうような異常な状態になりにくくなります。
スタンダード矯正や猫背矯正は、全身を正しい状態に戻すことで、首や肩、顔の筋肉への負担を軽減し、硬くなりにくい状態を作るとともに、顎関節が歪みにくい状態を維持しやすくなります。
鍼施術や電気施術は、咬筋や側頭筋などの顔の筋肉を深部までしっかりと緩めることで、顎関節が正常な可動をすることができるようになります。
顎関節症を軽減するために必要な施術頻度は?
症状の軽減には個人差がありますが、特に最初のうちは筋肉の硬さや骨格の歪みが強い場合が多いため、週に2~3回の頻度を目安に施術を受けていただくと、効果が表れやすくなります。症状が軽減してきた場合、週に1~2回に減らす方もいらっしゃいます。
施術の期間については、6ヶ月を目安としています。もちろん1ヶ月や3ヶ月でも一時的な効果は表れることがありますが、症状をしっかりと軽減するためには6ヶ月、さらにその状態を安定化させるためには1年間程度の期間が必要と考えています。この施術期間中に来院頻度が極端に少なくなったり、怪我をしてしまうと、さらに必要な期間が延びる可能性があります。